ジャズアルバム評 |
「The New Standard」ももちろんすごく良かったが、そのスペシャルエディションが最高。やはりライブでのすごさがよく分かる。僕もこのライブに行きたかった。最初の曲「You've Got It Bad Girl」がなんといっても圧巻。ハービー、マイケルブレッカー、ジョンスコのすごいこと。もう完全に壊れてる。どこまでやんねん!というぐらいそれぞれがソロで弾きまくり、吹きまくりで、「まさにこれぞジャズ!」やと思う。はっきりいってこのアルバムを聴いたら、他のジャズはあまり聴きたくなくなるほど。それにしてもハービーはすごすぎるわ。この人のニューヨークで行った「ピアノトリオ」の演奏といい、VSOPでの演奏といい、いつ聴いても「おおっ!」と声をあげたくなるほどすごい。ピアノであんなにノリがあってかっこいいのは、驚異的やと思う。
このアルバムを聴いてぶっ飛んだ。僕のなかのソロピアノのイメージというと、ビルエバンスみたいなのをイメージしてたのが、このアルバムで完全に変わった。山下洋輔はそれまで少しは聴いてたけど、そんなに感動はしなかった。でもこのアルバムはすごい。ここまでやるか!というところまでやってる。聴いてると鬼気迫るものがあり、そのピアノの迫力に圧倒されてしまう。こんなに力強いピアノがあるんやなぁ、と思った。「枯葉」や「チュニジアの夜」など知ってる曲のイメージが、山下洋輔に壊されていくようで、聴いていて非常に痛快。
大西順子のアルバムではこのアルバムが一番いい。最初のタイトル曲がすごく好き。2本の管もかっこいいし、大西順子のゴリゴリしたピアノもいい。最初のドラムの音を聴くだけで「さあっ始まる!」という感じで期待してしまう。リズム部隊もガンガンにあおっていて、全員がノッて弾いてるのがよくわかる。やはりジャズはこういうノリノリの曲がいいなぁと思う。また「Peggie's Blue Skylight」も緩急変幻自在で聴いていてドキドキする。この最初の2曲で十分満足できる。
マイルスのアルバムやったら個人的にはこれが好きやなぁ。特にタイトル曲の「'Round About Midnight」がいい。曲をかけた瞬間にその部屋の雰囲気が変わってしまう。はっきりいって、部屋の雰囲気まで変えるような曲や演奏はそんなに多くはないやろう。どんな時間に聴いても、なんか妖しいジャズクラブの雰囲気に変わってまう。出だしのマイルスの1音だけでゾクゾクする。あのトランペットの音はどないしたら出るんやろう。ジャズを聴かん人もこの曲は聴いてみたらええんとちゃうかな。ロックでもクラシックとかと全然違うということがよくわかると思う。
最近のアルバムの中では一番気に入った。帯にブラックホールフュージョンと書いてるけど、まさにジャズなんかフュージョンなんかプログレなんかようわからん。まあ、僕はプログレと解釈してる。水野正敏と江川ほーじんのツインベースがむちゃくちゃカッコイイ。なんか知性を感じさせないベースがすごく好き。バカテク、バカウマというのがぴったりな感じや。CD屋で1曲目の「特車」を聴いただけで「こいつらすごいわ!こら買わなあかん」と思ってすぐ買った。ベースもこんなに弾けたらカッコイイやろな。
朝はいつもこのアルバムを目覚ましにしてた。すごく気に入ってるアルバム。だいたいヴァイオリンが好きで、ジャズも好きといったらステファングラッペリは特におすすめやろう。中でもこのアルバムはお洒落でノリのいい曲が多く聴きやすいと思う。特に「Honeysukle Rose」がええ。バーニーケッセルのギターなんかすごくかっこいいフレーズの連発やし、ステファングラッペリのスピード感のあるヴァイオリンも「おおっ!」とうなってしまう。
このShaktiを聴いたときも衝撃的やった。インド音楽ってこんなカッコよかったんやと改めて思った。しかもそれをジャズにしてしまうねんからジャズの懐の深さはすごいわ。1曲目の「joy」の熱い演奏でもうお腹いっぱいになる。西洋の音楽とは違うノリでなんか宗教っぽくてかなりやばい感じ。とりつかれてしまいそう。演奏もジョンマクラフリンはもちろんのこと、その他のミュージシャンの激しいこと。演奏に圧倒されるとはこのことやろな。20分弱もある曲を一気に駆け抜けていくようや。