はり灸の治療的作用は、
生体の組織、器官の機能の異常を調節し、本来の生理的な状態に回復させる作用です。
疾病の状態と治療目的により、つぎの諸作用に分けられます。
-
組織、器官に一定の刺激を与えて、その機能を調整する作用です。
- A、鎮静作用
疼痛や痙攣のように異常に機能が亢進している疾患に対して、鎮静させる作用です。
- B、興奮作用
知覚の鈍麻、消失あるいは運動麻痺のような神経機能の減弱および内臓諸器官の機能減退に対して、興奮させる作用です。
-
患部に直接刺鍼するか、またはこれより遠隔部位に刺鍼して、その部の血管に影響を
及ぼし、充血をおこし、患部の血量を調整するものとがあります。
- A、患部誘導法
局所の血行障害に対し、直接その患部に治療して、血流を他の健康部から誘導する作用です。
- B、健部誘導法
局所の充血または炎症などの際に、その部位より少々隔った部に刺鍼し、血液をそちらに誘導し、患部の血量を調整する作用です。
-
生体の有する反射機転を介して、組織、器官の機能を亢進あるいは抑制する作用です。
-
- A、消炎作用
治療により白血球は増加し、治療部位に遊走します。
またリンパ系賦活により病的滲出物などの吸収を促進させ、生体の防衛能力を高める作用です。
- B、防衛作用
網内系機能を高めて、白血球などを増加させて、また免疫能を高めて、各種疾患の治癒機能を促進させ、生体の防衛能力を高める作用です。
- C、転調作用
自律神経失調症やアレルギー体質を改善して、体質を強壮にする作用です。
|